在留カードに記された満了日が近づいてくると、「いつから準備すればいい?」「どんな書類が必要?」「もし更新できなかったら?」といった不安から、相談にお越しになる企業担当者や外国人の方が少なくありません。
特定技能ビザの更新は自動では行われないため、期限を迎える前に「在留期間更新許可申請」を行う必要があります。在留期限を1日でも過ぎれば不法滞在となり、企業にも法的責任が生じます。
また、申請をしても必ず許可が下りるわけでもありません。しっかりした準備と早めに手続きを進めることが大切です。
本記事では、特定技能ビザの更新手続きの全体像から、必要書類・費用・不許可になる理由と対策まで、行政書士の視点で詳しく解説します。
特定技能ビザの更新は必要?基本を確認する
特定技能の在留資格には在留期間が設定されており、期限が来る前に「在留期間更新許可申請」を行う必要があります。更新を怠ると不法滞在となるため、在留カードに記載された満了日の確認と計画的な準備が不可欠です。
特定技能1号と2号で更新の仕組みが異なる
特定技能1号の在留カードに記載される在留期間は、1年・6ヶ月・4ヶ月のいずれかです。更新のたびにこの期間が繰り返され、通算の在留期間は原則5年が上限となっています。残りの在留期間があとどれくらいなのかを常に把握しておくことが重要です。
特定技能2号は、1号と同様に定期的な更新が必要ですが、通算在留期間の上限がありません。更新を続けることで長期にわたって日本に在留できます。ご自身のビザが1号か2号かを確認したうえで、残りの通算在留期間を把握しておきましょう。
「更新」と「変更申請」を混同しないこと
特定技能外国人が転職した場合、「更新」ではなく「在留資格変更許可申請」が必要になるケースがあります。特定技能の在留資格には「指定書」が発行されており、パスポートに添付されています。指定書には雇用企業・分野・業務区分が明記されており、そこに記載された条件の範囲内でしか就労できません。
つまり、同じ外食業でも別の会社に転職した場合は指定書の内容が変わるため、更新ではなく変更申請が必要です。この点を知らずにアルバイト感覚で転職してしまい、変更申請をせずに在留期限を迎えてしまうケースが後を絶ちません。転職の際には必ず事前に専門家に確認することをお勧めします。
更新手続きの全体像:スケジュールと流れ
更新手続きは「書類の準備」「申請の提出」「審査」「結果の受け取り」という4つのステップで進みます。審査には時間がかかるため、早めの準備開始が成功のカギです。以下のスケジュール表を参考に、計画的に進めてください。
更新スケジュールの全体像
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時期 |
やること |
担当 |
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在留期限の4ヶ月前 |
書類リストの確認・収集開始。企業側の準備を進める。 |
企業・本人 |
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在留期限の3ヶ月前 |
申請受付開始。書類が揃い次第、管轄入管に提出する。 |
企業・本人 |
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提出後〜審査中 (平均約41日) |
入管が審査を実施。特例期間中は現在の在留資格が継続する。 |
入管 |
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結果通知後 |
・許可の場合:入管に出向き収入印紙6,000円を納付、新しい在留カードを受け取る。 ・不許可の場合:不許可理由を確認し、対応を検討する。 |
本人・企業 |
審査期間と特例期間について
入管庁の公表データによると、特定技能1号の在留期間更新許可申請の審査にかかる平均日数は約41日です(2025年7月許可分)。つまり1ヶ月以上かかることが多く、1〜3月は申請が集中するためさらに長引く可能性があります。
参考:在留審査処理期間(日数)の公表について|出入国在留管理庁
申請書類の準備には、企業側・本人側それぞれで複数の書類が必要です。証明書の取得に時間がかかるケースもあるため、在留期限の4ヶ月前には準備を始めることをお勧めします。申請自体は原則として在留期限の3ヶ月前から受け付けてもらえます。
また、在留期限の満了日までに申請が完了していれば、審査中に期限が来てもすぐに不法滞在にはなりません。「特例期間」として、審査結果の通知を受けるまで、または在留期限の2ヶ月後までのいずれか早い時点まで、現在の在留資格が継続されます。
ただし、これはあくまで申請が完了している場合の話です。申請が間に合わなければこの特例は適用されません。
企業側・本人側それぞれの必要書類
更新申請の必要書類は、「企業(受け入れ機関)側が準備する書類」「外国人本人(申請人)側が準備する書類」「分野別の書類」の3種類に分かれます。
書類量が多く、初めて担当する方は圧倒されがちですが、誰が何を準備すればよいかを把握すれば整理できます。
企業(受け入れ機関)側が準備する書類
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書類 |
備考 |
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特定技能雇用契約書の写し・雇用条件書の写し |
外国人が理解できる言語での記載が必要 |
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特定技能外国人の報酬に関する説明書 |
入管庁の様式を使用 |
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申請人の給与所得の源泉徴収票の写し |
課税証明書と同一期間のものを添付 |
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特定技能企業概要書 |
入管庁の様式を使用 |
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登記事項証明書 |
法人の場合。発行から3ヶ月以内のもの |
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業務執行に関与する役員の住民票の写し |
マイナンバー記載なしのもの |
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特定技能企業の役員に関する誓約書 |
入管庁の様式を使用 |
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労働保険申告書(事業主控)の写し+領収証書の写し |
雇用保険・労災保険の納付証明 |
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税務署発行の納税証明書(その3) |
法人税の未納がないことの証明 |
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法人住民税の市町村発行の納税証明書(直近2年度分) |
滞納がないことを確認 |
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分野別書類(協議会構成員証明書・営業許可証等) |
分野によって異なる。詳細は入管庁HPを確認 |
なお、雇用主が個人事業主の場合、登記事項証明書の代わりに事業主個人の住民票や国民健康保険・年金の納付証明書が必要になります。
法人と個人事業主で一部書類が異なる点に注意してください。また、過去1年以内に提出済みで内容に変更がない書類については、省略できる場合があります。
参考:在留資格「特定技能」(在留期間更新許可申請)|出入国在留管理庁
外国人本人(申請人)側が準備する書類
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書類 |
備考 |
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在留期間更新許可申請書 |
入管庁HPよりダウンロード。顔写真を貼付 |
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個人住民税の課税証明書・納税証明書 |
最新年度分。市区町村窓口で取得(1通300円程度) |
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通算在留期間にかかる誓約書 |
特定技能1号の方のみ必要 |
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パスポート・在留カード(提示) |
申請時に窓口で提示 |
申請書類の提出は、特定技能外国人本人または申請取次の承認を受けた者(企業の担当者・行政書士等)が窓口に直接持参する必要があります。郵送での申請はできません。オンライン申請を利用することで窓口に出向かずに手続きを行うことも可能です。
更新が不許可になる理由と対策
更新申請をしても、必ず許可が下りるとは限りません。不許可になる理由を事前に把握しておくことで、適切な対策が取れます。特に見落としがちなのが「会社側の問題で外国人のビザが不許可になる」というケースです。
外国人本人側が原因となるケース
外国人本人に起因する不許可の主な原因は、住民税・社会保険料等の滞納です。前回の申請時に滞納があって「公的義務履行に関する誓約書」を提出していた場合は、更新時までに必ず義務を履行しておかなければなりません。滞納があれば更新は不許可となります。
また、雇用条件が前回の申請時から変わっている場合も指摘を受ける可能性があるため、変更があった際は随時届出を行うことが重要です。
企業(受け入れ機関)側が原因となるケース
「外国人本人がどんなに真面目に働いていても、会社の問題でビザが更新できなくなる」——これは多くの方が知らない重要な事実です。入管庁はビザの審査において、外国人本人だけでなく受け入れ企業も同時に審査します。
企業側が原因で不許可となる主なケースは以下のとおりです。
- 税金(法人税・法人住民税)の滞納が審査で発覚した
- 社会保険料・労働保険料の滞納がある
- 定期届出(年1回)の未提出・随時届出の漏れがある
- 10項目の義務的支援が適切に実施されていない
- 役員が出入国・労働法令に関する違反を行っていた
このうち定期届出については、2025年4月の制度改正により、これまで四半期ごと(年4回)だったものが年1回に変更されました。ただし、届出自体の義務はなくなっていませんので、提出漏れには引き続き注意が必要です。
参考:特定技能制度における運用改善について|出入国在留管理庁
不許可になってしまった場合の対応
不許可の通知が届いた場合は、まず入管庁に出向き不許可の理由を確認することが最初のステップです。不許可理由が税金の滞納であれば速やかに納付して再申請を行う、書類の不備であれば必要書類を揃えて再申請するなど、理由によっては解決して再挑戦することが可能です。
一方、万が一在留期限までに申請が間に合わなかった場合は、外国人本人と一緒にすぐに管轄の入管庁に相談してください。入管の判断によっては、例外的に短期滞在等の在留資格への変更が認められる可能性があります。
ただしこのような事態にならないよう、在留期限の管理と早めの準備を徹底することが何より重要です。
更新にかかる費用
更新申請の費用は大きく分けると「申請自体の費用」「証明書取得の実費」「許可後の収入印紙代」「行政書士への依頼費用(任意)」の4種類です。費用は企業・本人のどちらが負担するかも確認しておく必要があります。
費用の内訳一覧
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費用の種類 |
金額の目安 |
負担者 |
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申請書類の提出 |
無料 |
— |
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各種証明書の取得実費 |
1通300〜600円程度 |
企業・本人 |
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収入印紙代(許可後) |
6,000円(窓口申請) 5,500円(オンライン申請) |
本人 |
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行政書士への依頼費用(任意) |
数万円〜10万円前後 |
企業または本人 |
収入印紙代については、2025年4月1日以降に許可が出た申請分から6,000円(窓口申請)または5,500円(オンライン申請)に改定されています。2025年3月31日までに受付した申請については、許可日が4月以降であっても旧来の4,000円が適用されます。
なお、義務的支援にかかる費用(登録支援機関への委託費等)を外国人本人に負担させることは法令上禁止されています。更新にかかる書類取得費用も含め、費用負担のルールを事前に明確にしておくことが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 更新申請はいつから可能ですか?
在留期限の3ヶ月前から申請が可能です。ただし書類準備には時間がかかるため、4ヶ月前から準備を始めることをお勧めします。1〜3月は申請が集中し審査が長引く傾向があるため、余裕を持ったスケジュールで動いてください。
Q2. 在留期限を過ぎてしまったらどうなりますか?
在留期限までに更新申請が完了していれば、審査中に期限が来ても「特例期間」として引き続き在留が認められます。しかし申請が間に合わなかった場合は不法滞在となります。その場合はすぐに管轄の入管に相談してください。絶対に申請が間に合わない事態は避けるよう、早めの準備を徹底してください。
Q3. 転職したら更新申請ではなく変更申請が必要ですか?
はい、特定技能は転職の際に在留資格変更許可申請が必要です。指定書に記載された企業・分野・業務区分が変わるためです。転職先での就労開始前に必ず変更申請を行ってください。申請前に就労を開始すると資格外活動となり、在留資格の取り消し対象になることがあります。
Q4. 書類が多くて自分では難しい場合はどうすればよいですか?
行政書士等の専門家に依頼することが可能です。費用は数万円〜10万円前後が相場ですが、書類の不備による不許可リスクを大幅に軽減できます。さむらい行政書士法人では初回無料相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。
Q5. 2025年4月の制度改正で何が変わりましたか?
主な変更点として、①定期届出の頻度が四半期ごと(年4回)から年1回に変更、②収入印紙代が4,000円から6,000円(オンライン申請は5,500円)に改定、③市区町村への「協力確認書」の提出が更新申請前に必要になりました。詳細は出入国在留管理庁の公式サイトをご確認ください。
まとめ:更新は「企業と外国人の二人三脚」で早めに
特定技能ビザの更新は、申請すれば自動的に許可が下りる手続きではありません。外国人本人と受け入れ企業の双方が、税金・社会保険料の納付・必要書類の準備・支援義務の履行など、多くの義務を果たしていることが審査で確認されます。在留期限の4ヶ月前から準備を始め、企業と外国人が協力して余裕を持って申請を行うことが、更新成功への唯一の道です。
「書類が多すぎて何から始めればよいかわからない」「不許可になりそうで不安」という方は、さむらい行政書士法人までお気軽にご相談ください。申請書類の作成から提出まで、外国人就労に精通した行政書士が一元的にサポートいたします。初回相談は無料で承っております。
